ロー指定の教科書をぶった切る

今回は京大ローの基幹科目で使う教科書についてあれこれ語っていきたいと思います。京大に限らず、他ローでも同じ教材が使われていることもあるため、その部分は参考になるかもです。

 

Qそもそも指定された教科書って役に立つの?

これは後で各教科ごとに見ますが、基本的に独学で役に立つものではありません。これからロー生という人の中には入学前から張り切って予習しておこうと考える人もいるようです。その初々しい気持ちは微笑ましいものですが、中を開いてみてください。あまりの使えなさにそっと閉じてしまうでしょう。ローの教科書で司法試験合格に導かれたという人はかなり少ないはずです。

 

Qじゃあ買わなくても良くない?

残念ですが、手元には持っておく必要があります。授業自体はそれをベースに進めるため、たとえ授業が聞く価値のない内容でもソクラテスで指名された場合に困ってしまいます。毎回毎回図書館に行って、あるいは友達に借りて写真でも撮るという戦法もあり得る所ですが、何科目もあるうえ、それを14週くり返すのはなかなか大変なのではないかと思います。

 

Q定価で買いたくないんだけど

その気持ちはよくわかります。なので、今回は耳寄り情報を出しちゃいます。新入生の人は見て損はないと思います。

まずは先輩からもらうという方法があります。しかし、他大からの入学者や3年次卒業者は簡単に見つからないこともあります。また、そもそも先輩がいても教材をくれといえるほど親しい関係にある人は多くはないでしょう。そこで、他の方法を考える必要があるわけです(ただし、先輩ノートは必ず入手しましょう。顔の広そうな人と友達になっておくのが吉です)。

毎年、ロー生の中には使った教科書を売る方も多いです。そう、あの某フリマアプリです。大体新品の6割程度の値段で買えることが多いです(書き込みありならもっと安いことも)。そして、ここが重要なのですが、買うタイミングを逃さないでください。通常新学期が始まる時期になると、一気にSOLDになり売れ残っていないことが多いです。また、この時期は普段より値段が高めになることがあります。逆に、今の時期(ブログ執筆時は2月)のように、一つ前の期末試験後などは閑散期です。多くのロー生が整理しようとする一方、まだ情報が入っていない新入生などは買っていません。つまり、多くの売れ残りがあり、かつ値段も安めです。前期なら3月になる前、後期なら9月になる前には仕入れておきましょぅ。安くで買いたいなら絶対に早くから動きましょう。なくなるときは一瞬でなくなってしまうことは覚えておいておきましょう。ここで筆者の体験談をお話ししましょう。以前、先ほどで言う所の閑散期に、ある教材を2000円で買いました。少し書き込みがあるという感じのものです。そして半年間使い、さらに中古感マシマシな感じになりました。状態としては悪くなってますよね。しかし、その1年ちょっと後の学期開始直前期に売りに出しました。なんとそんな状態なのに2400円で売れました。手数料・送料引いてちょうどトントンですよね。つまり実質タダで使えたわけです。使った後は繁忙期に売る。これもまた一つの手です。ちなみにローの授業が終わったら売ってしまって構いません。持ってても役立ちませんから(授業中に乗ったノートでもとっておけばそれで十分です)。

 

Q各教科ごとの教科書について教えて

1 行政法

使う教材:『ケースブック行政法』(第7版)定価3600円

ただ判例が載っているだけです。割と長文載せていることもありますが、特に解説とかはありません。百選で事足りるので正直授業以外で使うことはないでしょう。

 

この教材どこのローでもよく使っているらしいんですけど、昨年改訂されたばっかりなんですよね。なので今はあんまり中古で出回ってません。2022年の受講生がこれから売り出してくれると良いですよね。

もし出回らなかった場合、じゃあ第6版でも良いんじゃないかと言うお話になりますよね。筆者自身7版持っていないので確実ではないですけど、大して中身変わってないと思うんですよ。ただ、若干のページのずれがあると思います。京大の先生は意地悪なのかはさておき、ケースブックのページ数しか引用しやがらないことが多いです。こういった場合、レジュメから大体どの判例か特定できるとこは多いと思いますが、確実にできるとまでは言い切れません。わからない場合にだけ最新版を図書館で見に行くという方法をとれば良いんじゃないですかね。6版ならお安く手に入るので結構アリな手段だと思います。

 

2憲法

筆者の代は教科書指定あったんですけど、最新のシラバス見たらなくなってました。

かつて6000円以上する教科書を指定しておきながらほとんど使わなかったという出来事があったのです。これはひどいですよね。受講生の誰かがアンケートで文句を書いたのかもしれません。なお、この授業と司法試験の関連性は薄めです。一応クラスによっては司法試験の過去問は扱うんですけどね。それにしてもあんまり役には立たないかなと言う感じです(そもそも司法試験の憲法が勉強量と出来が比例しにくいというせいなのかもしれないが)。

 

3 刑法

使う教材:『ケースブック刑法』(第3版)定価 3900円

こいつですよ。こいつ。前回の京大ロー大全でも書きましたが、悪名高き教材です。判例を並べるまでは良しとしましょう。そこに関連してつけられている問いが意味不明だったり、そんなこと知ってどうするのかというものが多いです。授業では扱わないものの、両罰規定についてで1章割いてますからね。意味がわかりませんよね。書き込みを嫌わないのであれば、ワンコインでも買えてしまいます。それで十分でしょう、こんなもの。

 

4 刑事訴訟法

使う教材:『ケースブック刑事訴訟法』(第5版)定価6000円

構成は刑法と同じなのですが、意外とこの教材はまともです。刑訴の授業自体はロー内でも評価が良く、授業での解説を合わせると良い感じの授業ノートができると思います。

ただ値段がお高いです。ちょっと新品で買うには抵抗ありますよね。今は結構中古でも出回ってました。ただ、授業直前期には多分売り切れます。みんな新品では買いたくないのでしょう。3000円以下なら即買いしても良いのではないでしょうか。

 

5民法

この授業は指定教科書はありません。

ただ、配ってくれる教材はなかなかえげつないものです。内容としては司法試験を優に超えています。特に、民法総合3はオーバーキルすぎるでしょう。できなくても落ち込まないようにしましょうね・

 

6商法(会社法

使う教材:『会社法事例演習教材(第4版)』定価3300円

こちらも新版が出たばかりで、中古はまだ少ないです。ですが、こちらは最新版を買いましょう。直近の会社法改正が反映されているからです。

この本に関しては、多くの学生が絶賛しています。会社法を勉強するうえで必要な知識を網羅しているからでしょう。

ただ、後半の紛争予防編は少しオーバーキルですね。ただこここからも試験に出そうな部分はあるんですよね。会社法ではあまり点数を稼がなくてもいいやという人以外はやっておいた方が良いです。

他方で、あまり過度な期待を抱きすぎるのも考えものです。やはり独学では勧められないのが痛いです。

また、これさえやっておけば司法試験は大丈夫という考えも危険です。最近はむしろ予備試験の方が役立っている節もなくはないです。

司法試験の方は、下級審判例(もちろんその存在知っている必要はない)を題材に受験者に思考させるといった傾向にシフトしていく可能性があります。現に令和4年の会社法がそうで、実際この本が役立ったとはあまり言いにくいような気もします。何というか、会社法の制度仕組みを柔軟に解きほぐす作業が求められているような気がするんですよ。

なので、「あの本に載ってない問題が出た。どうしよう。」とならないようにしましょう。とはいえ、覚えておくべき知識は沢山載っていることには変わりないので、しっかり授業を聞いてノートはとっておくのが吉です。

なお、余談ですが、昨年の商法総合(1)はなかなかエグイ問題が出たとの声も聞きました。ただ、筆者の代は割とストレートな問題が来たので毎年の傾向とまでは言えないのではないでしょうか。

 

7 民訴法

使う教材:ロースクール民事訴訟法』(第5版)定価 5300円
     『ケースブック民事訴訟法』(第4版)定価3900円

2つも指定あるなんて贅沢ですね。でもどっちもそれなりに使うんです。なので買わないといけません。定価以上に安売りしていることも多いので、逐一チェックして売られていたらサクッと買っちゃいましょう。

重要な判例が載っていて、それに関連する判例が載っていて、あとは設問がついているという感じです。問題が投げかけられるだけの悲しき一方通行なのは言うまでもありません。

ただ、判例の射程を養うにはそれなりに役立つところはあると思います。そしてそういう姿勢が司法試験に役立つこともあるでしょう。実際良問もそれなりにあります。授業はきつかったが、役に立ったという声も良く聞きます。

他方で意味の分からない設問も交じっており、先生がその設問の作成者をディスることもあります。そういった問題を予習するとなると鬱ですね。担当する先生によってそれを扱うかどうか変わるので少し運も絡んできます。この本と授業に関しては、それなりに頑張るという姿勢で良いのではないでしょうか。

 

8実務系科目

一応司法試験を目指すロー生のための記事ですので、今回は省略します。

この辺の本は主に、予備試験や修習で役立つ感じです。

とはいえ、予備抜けしようという人は、大島本で十分です。刑事に関しては、プロシーディングの方は少し読んでおいても良いかもしれません。

 

 

今回も4000字近くと長くなっちゃいました。

お付き合いありがとうございました。